chikoのSims3日記

The Sims3のSS中心な日記です。

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My Love Song : Chapter.13 邂逅

久々に、ストーリー本編の更新でございます。少々SSの量が多くなってしまいました(汗)
長めですのでお暇な時にのんびり閲覧して頂けたら幸いです。_(._.)_

                                                          




誰もが持っているはずのものを私は持っていない
それに焦がれれば焦がれる程 私の心には秋の落葉のように虚しさが積もるだけ

ならば最初から望まなければ良いのに






宿泊地に隣接している畑が物珍しくて、子犬と共に土いぢりを楽しんでしまった私は
夜、ベッドへと滑り込んだ途端に、心地よい疲労に包まれながら眠りについていた。

My Love Song13 Ss-01

「寝たようだな。良い夢を、観るのだぞ・・・・・・」

星空の下で私を案じて祈ってくれているトリヴァーさんの思いが、睡りに落ちた私を優しく包み込んでくれていた。
固い殻で閉じこもるアルマジロのように自分の殻に閉じこもっている私が、そのことに気付くのは一体いつになるだろう。









『あら、今日もあんな所で堂々と本を読んでいますわよ』
『日陰にでも居れば良いですのに』

My Love Song13 Ss-02
どこに居ても聞こえてくるのは非難の言葉
それは私に向けて発せられるもの





My Love Song13 Ss-03
『ねぇ、聞きまして?あの方の周りでは不幸なことが続いているらしいですわよ』
『近寄ったらワタクシ達まで災難が降りかかるかもしれませんわね』
『嫌ですわ。怖い怖い』

辛らつな言葉は、どんなに小さな声で発しても鋭く突き刺さるもの




- 幼等部からの一貫校である全寮制の学院に、私は初等部の頃転入した。
良家のご子息ご令嬢が集うこの学院は、初等部から高等部までは校舎が男女別になる。
しかし特例があって、高等部になると女学部の隣棟に執事達専用の教室が据え置かれるそうだ。
なので、一緒の学院に通学しているはずのジョヴァンニとは、高等部に進学するまでは接点はないに等しい。 -





My Love Song13 Ss-04
クラスメイトからの幼いながらも棘のある言葉にさらされる毎日。
針のムシロのような空気は居心地が悪く、私は休み時間になると学校の中庭で過ごしたものだ。
教師も生徒も、遠巻きに見るばかりで誰も近寄ってこない。





My Love Song13 Ss-05
私は一人なのだと思い知るには十分過ぎるものだった。 






クラスメイト達が立ち去るのを待つか・・・私がこの場から立ち去るか
逡巡していると近くの茂みがガサリと音を立て、植え込みの間から見知らぬ男子学生が出てきた。





------





ここは・・・・・・




My Love Song13 Ss-07
どこかで見たことのあるような風景が目の前に広がっている。
それが私が学生時代を過ごした学院の中庭だと気付く事に時間は掛からなかった。






”また 私の夢に進入しているのか?”




My Love Song13 Ss-08
誰に言うでもなく宙に向けて言葉を発すると、背後に気配がうまれる。






”ごめんなさい 最近はあの娘が更に私の存在を拒んでいるから 貴方の記憶を元にした夢から同調させるしかないの”
My Love Song13 Ss-09
”まだ 私とあの少女には記憶の接点があったのだな”


レディ達と旅をするようになってから、私は自分の昔の夢や、見知らぬ少女が登場する夢ばかりを観ていた。
そしてある夜、私が客観的に見守っているだけの夢の中で不思議な女性に出逢ったのだ。
- いつも白い服を身に纏い、光に包まれて現れるので、私はこの女性のことを『天使』と呼んでいる -

私の祖先が持つ特殊な力の一旦が私の中にも存在していて、天使はその力の残滓を辿って私の夢へと進入したらしい。






My Love Song13 Ss-10
”何度 辛い思いをさせれば気が済むのだ アレは そんなに強くはないのだろう?
 これ以上 痛い思いをさせるのは酷というものだぞ”

”分かってる でも あの娘なりに必死で探そうとしているのを邪魔することは出来ないの”


私と女性が見守るなか。見知らぬ少女の夢は続いていた。





------





『そこの小さなレディ達、もうそろそろ予鈴が鳴るぞ。
My Love Song13 Ss-11
早く教室に行った方が良いのではないか?』

物陰から突然男の人の声がして心底驚いたのはどうやら私だけではなかったらしい。
それまでおしゃべりをしていたクラスメイト達は、キャアキャア言いながらそして頬を赤く染めている。






『あの方ってたしか・・・美術部の部長様ですわよね』
『長らくご不在だったようだけれど帰国されていたのね』
My Love Song13 Ss-12
『なぜ女子中等部にいらっしゃるのかしら?』
『次のコンクール用に被写体を探してらっしゃるのかもしれませんわよ』

小声で話しているようだけど、少し離れたところに居る私にも聞き取れた。

美術部の部長 - この学院では部活動は初等部から高等部まで一緒にやっていて、それらを束ねる部長は高等部の学生が務めていたはずだ。
当代の美術部長は在学中から世界に名をはせる程の実力の持ち主で、休学してはデッサンの旅に出ているという変わり者らしい -
と、いつだったか女子生徒達が噂していた。






My Love Song13 Ss-13
『小鳥のように可愛く囀るレディ達、詮索は後にして早く行った方がいい』

その男性に慌てながらも優雅なお辞儀をしてみせると、クラスメイト達は一斉に駆けていった。

”『小鳥のように可愛くさえずるレディ達』ですって!さすがの感性ね”
”後生だから 天使も囀るのは やめてくれ”





My Love Song13 Ss-14
『そこの金の髪のレディも授業に遅刻してしまうぞ?』

なんで女子中等部の校庭に高等部の制服を着た殿方が居るのか。
理解の範疇を超えていて突然の出来事に返事すら出来ないでいる私に、その男子学生は近寄ってくる。





『大事ないか?・・・・・・・もしかして、腹でも空かせているのか?
そうだ、学食のオバちゃんに貰った物なのだが、いくつかあるから金の髪のレディにも分けてあげよう』
My Love Song13 Ss-15
男子学生はそう言うと、おもわず立ち上がっていた私に真っ赤なリンゴを手渡してくれた。






My Love Song13 Ss-16
『君の頬の色とお揃いだな。』

無表情で怖そうな方だけれど優しい空気が漂っていた。


そうか、この殿方は私の噂を知らないから、話しかけてくれているのだろう。
そうでなければ、こんなに優しいわけがないもの・・・・・・





My Love Song13 Ss-17

- 大人になってから振り返ってみると、学生の頃の私はどんなに卑屈で暗い存在だったのだろう。そんな風に思うことがある。
目に見えた嫌がらせが無かったのは、周りの学生達もお育ちが良かったから。ただ、それだけの事。

学生時代ですら、私は生家の絶大な権力に守られていたのだ。そんな物、私にとっては忌々しいだけなのに。 -







「部長ー!どこに居るんです?中等部の学長がお呼びですよ!」

遠くから他の男子学生らしき声が響いてくると、リンゴをくれた男子学生は気怠そうな空気を纏わせる。





「ろくな依頼しかしてこないからサボっていたのに・・・・・・ここに居るのがばれてしまったか」
My Love Song13 Ss-18
「私はこれで失礼する。レディも予鈴が鳴ってしまうぞ、急げ!」

お礼を言う暇もなく、その人は走り去っていく。

「ちょ、どこ行くんですか部長!





My Love Song13 Ss-19
手渡されたリンゴと、走り去っていくその人の背中を交互に見ている背後で、カランカランと予鈴が鳴り響いていた。





------





私の学生時代の記憶も含まれているのはなんとなく理解したが、あんな事、あったか・・・・・・?
私の隣に居る女性   天使の話を信じるとしたら、今のは少女と私の記憶が入り交じった夢だったようだ。

My Love Song13 Ss-20
だが、なんであろう・・・・頬の辺りが熱くなっているのも夢だと思いたい。






My Love Song13 Ss-21
”悪夢にとり憑かれているわけでもないのに あの娘は小さい頃から自分を追い詰める夢しか観ていなかった”


- 少女は両親を事故で一度に亡くしたと天使が言っていた。ならば自傷するかのように夢を見続けるのも、可哀相だがしかたのない事だろう。
事故が両親の天命であり、運命なのだと理解できる子供がいたとしたら、そちらの方が悲しいことだ。
大人になってからではないと、理解し、のみ込むことが出来ない事柄も多くあるのだから。 -






”でも スコット 貴方と出逢ってからは素敵な夢を観るようにもなったみたいね”
My Love Song13 Ss-22
”『君の頬の色とお揃いだな』ですって 素敵な殺し文句よ”

グッジョブ!とでも言うように、私にウィンクをしてみせる女性に対し、私はどう反応して良いのか考え倦ねてしまう。
こういう時の対処が分からないのが私の欠点なのだろうか






”欠点じゃないわ それが貴方の良いところよ”
My Love Song13 Ss-23
人の夢に土足で踏み込んでおいて、恥ずかしいことを言うのは止めてほしいものだ。






My Love Song13 Ss-24
”ゴホンッ・・・ ところで 天使はいつまでこの茶番を続けるつもりだ?”

夢に出てくる少女が心の傷から血を流し続けるのを、君はただ黙って見守るだけなのか。







My Love Song13 Ss-25
”茶番・・・・・・そうね 茶番と言われてもしようのない事をやっているのかもしれない”
”でも あの娘が探しているモノが見つかるまで 私には導くこと以外 何もできないの”

大人のエゴが少女を追い詰めたのかもしれないというのに、表だって助けてやることが出来ない
救いの手を差し伸べられないという状況は、酷くもどかしくもあるのだろう。

しかし・・・・・

天使は何も言わないが、夢の少女は私の知る”あの女性”なのだ。と、今回の邂逅でなんとはなく確信した。




それならば




My Love Song13 Ss-26
”天使の為ではなく 私は私なりに 共に旅をする仲間として彼女を見守る それでよいな?”
”ありがとうスコット!貴方達にならあの娘を任せられるわ”


天真爛漫な天使と、自分の殻に閉じこもっている少女    いや、レディを放っておけるわけがない。

お互いに頷き合った後、天使の気配が消えるとともに自分の意識も落ちていく感覚に包まれた。





------





なんだか懐かしい夢を見た気がするのだけれど、思い出せない。
なんだろう?心に引っかかっているものがあるような気がするのだけれど・・・・・・




My Love Song13 Ss-27
「トリヴァーさん、おはようございます。」
「おはよう、レディ。昨夜はゆっくり眠れたか?」

身支度を調えてからキッチンへ行くと、そこには既に朝食が準備されていた。
新鮮野菜のサラダが美味しそうだ。

席にどうぞ。と、トリヴァーさんの大きな手に促され、私はスツールに腰を下ろす。






「あ、はい。懐かしい夢を見た気がするのですが、ぐっすりと眠れました。
 すみません、一つしかないベッドを使わせて頂いちゃって・・・・」

My Love Song13 Ss-28
「いや、私は旅路には寝袋持参するのが常だから気にしなくていい。
 レディには快適な旅を満喫してもらいたいからな。君がゆっくり眠れたのなら安心だ。」



実は昨夜、夕食の後に一悶着あった。
この小島の建物内にはダブルベッドが一つしかなかったので、どちらが寝るかで譲り合いが発生したのだけれど・・・

”野宿は慣れている”と、トリヴァーさんは寝袋らしき物を抱えてバルコニーへと出て行ってしまったのだ。
芸術家であるトリヴァーさんは、野性味溢れる生活をしているらしい。





My Love Song13 Ss-29
「懐かしい夢か・・・私も夢を観たぞ。この島のゆったりとした空気が心地よいのだろうな」

トリヴァーさんはフフと笑いながらも難しい顔で考え込んでいる。


「トリヴァーさん、どうかされましたか?」



「いや、何でもない。それよりも、だ。ジョニィ君は何をやっているのだろうな」
My Love Song13 Ss-30
「そうですねぇ・・・・・。海で迷子にでもなったのでしょうか?」






「慌て者な彼ならあり得るかもしれんな。」
My Love Song13 Ss-31
「ですね。せっかちで負けん気が強くて人の意見をちゃんと聞かなくて・・・・・・」

「それに続く言葉は『でも、優しくて』か?レディにとっては、大事な幼馴染みなのだろう?」





My Love Song13 Ss-32
「そう・・・ですね。彼の方はどうだか知りませんが、私にとっては大事な存在です。」

幼馴染みとしても、親戚としても大事。
その関係を壊したくない。それなのに・・・・・・





My Love Song13 Ss-33
「昨日は私に悟られまいと頑張っていたようだが、やはりジョニィ君が居ないと不安のようだな。
 四六時中一緒の存在が”今”居ないのだから、それも仕方あるまい。」

そう呟くトリヴァーさんに何か言い返そうとしたのだけれど、何が『不安』なのか自分が分からない。





My Love Song13 Ss-34

ジョニィが側に居ないから?
私のことを大人として扱ってくれないから?
あの大人の女性が待ち構える邸に一人で入っていったジョニィのことが心配だから?

だから不安?
でも、何が不安なの?



まるで堂々巡りだ。






My Love Song13 Ss-35
「あの、トリヴァーさんには大事な存在って居ますか?」

私の唐突な質問に、トリヴァーさんは怪訝そうな表情を向けている。






「ふむ、大事な存在か・・・。私にとってはこの世に存在する物全てが『大事な存在』だ。
 木々の息吹や生命の輝き。その全てが愛おしい・・・・・」
My Love Song13 Ss-36
「・・・・なんて大それた事を言うと一端の芸術家みたいに見えるだろう?」

芝居がかった仕草で力説をしてくれたと思ったら、表情は一変して人の悪い笑みを浮かべている。





「からかったのですか?!」
My Love Song13 Ss-37
「さあ?レディはどう思うのだ?」

文句を言う私に、トリヴァーさんは笑顔でとりなす。






My Love Song13 Ss-38
「レディやジョニィ君のことも、私にとって大事な存在になりつつあるかもしれんな」

ボソリと呟かれたその言葉は私には聞き取れなかったのだけれど、トリヴァーさんから醸し出される空気は穏やかで、
何もかもを包み込み見守ってくれる、大地のような印象だった。


私は質問の答えを有耶無耶にされたことなど、気づきもしなかった。







結局、ジョニィが合流しないことには何もできないので、この島で待つことになった。

My Love Song13 Ss-39
トリヴァーさんは壮大に広がる風景を、持参のキャンバスへと描いているようだ。





My Love Song13 Ss-40
私はと言うと、トリヴァーさんから目の届くところに居るように言われたので、バルコニーや前庭で子犬さんと過ごしていた。






さすがに、もう子供じゃないのだから大丈夫だとトリヴァーさんには言ってみたのだけれど、

My Love Song13 Ss-41
トリヴァーさんはチラリと小屋の横を見やってから、「保護者の言うことは聞くように」と、念押ししてきた。

保護者って・・・・・・私はもう、成人しているのだけれど。
私はそんなに信用がないのかしらね?






My Love Song13 Ss-42
兎にも角にも、トリヴァーさんの言いつけを守ってのんびりと過ごしていたから、かなり充実していたと思う。
ジョニィのことを忘れてしまうくらいのんびりしてしまったことは、彼には秘密にしておこう。







「未だにジョニィ君が合流する気配が無いようだな。心配なら、本島に戻るか?」
My Love Song13 Ss-43
数時間経ち、辺りが薄暗くなってきた頃、それまでキャンバスに向かっていたトリヴァーさんが手を止めてそう切り出した。






My Love Song13 Ss-44
「連絡手段が見当たらないのですが、どうやって迎えを寄越してもらうのですか?」

・・・ん?あれ?トリヴァーさんがもの凄くビックリした顔をしている?






My Love Song13 Ss-45
「すまぬ・・・携帯の電波が圏外だったのを忘れていた。」

「・・・・・・フッ・・・ふふふ」
「こら、笑うとは酷いぞ、レディ」

トリヴァーさんの表情は怒っていないけれど、怒ったような口調で窘められてしまう。






「ジョニィが居たら即座に反応がありそうですね」
My Love Song13 Ss-46
「あぁ、『ボケてんなよオッサン!』だろう?私はオッサンではないのだがな」

「フフッ。『ったく、しょうがねぇなぁ』とかも言いそうですね」
「うむ。」

二人で笑いながらジョニィの口真似をしあう。






「レディは・・・ジョニィ君のことが好きなのだな。」
My Love Song13 Ss-47
「え・・・?」

今この人は何を言ったの?






My Love Song13 Ss-48
「短い付き合いだが、私もジョニィ君の人となりには好感が持てる。
 短絡的なところも、彼なりにレディのことを思っての行動だと思うからな。」

サラリと酷いことを言っている気がするけれど、分かる気がする。
思わず頷きそうになってしまった。






My Love Song13 Ss-49
「仕切り屋で煩いけれど、私の大事な幼馴染みです。好きなんて言葉じゃ言い表せないくらいに。
 親戚だからと言うのもあるけれど、家族みたいな存在ですね」

好きか嫌いかと聞かれたら、好きと答えるしかない。
ジョニィは私の家族だから。






My Love Song13 Ss-50
「レディ?君は何故、自分自身に虚勢を張っているのだ」

虚勢・・・?






My Love Song13 Ss-51
「それはどういう意味ですか?」

私が自分を偽っているとでも言うの?






「実は私もあまり分かっては居ないのだが、『好き』という感情は人間にとって重要な物だろう?」
My Love Song13 Ss-52
「それを相手に伝えるのは悪いことではないはずだ。
 でもレディ・・・君は、一線を越えないように相手との間に見えない壁を張っている。」


「その事をジョニィ君も分かっているのに見て見ぬ振りをしている。それは、何故なのだ?」
「・・・・・・」






「こう言っては酷なのかもしれないが・・・両親を事故でなくした子供は、他にも沢山居るだろう」
My Love Song13 Ss-53
私の昔の知り合いにも、居る。
トリヴァーさんは、そう、言葉尻に付け加える。






「『自分のせいで』などと思っているなら、それは君を守って亡くなった親御さんに対して失礼だぞ」

My Love Song13 Ss-54
「森羅万象、親は子供を守るものだから気にしないでよかろう。
 自分のプライドを守ろうとするのはジョニィ君にでも任せるとして、君はどうする。レディは何を守りたいのだ?」


私は・・・・・・






My Love Song13 Ss-55
「私には、愛とか恋とか好きとか嫌いとか、そう言う感情があまり理解出来ていないようです。
 でもそれが、両親が居ないからとか・・・そう言う、非道な理由はつけたくないんです。」

「だからこそ、その意味を知りたくて旅に出たのだな」

トリヴァーさんの指摘は的確すぎて、萎縮してしまうこともある。
けれどそれは本心を見抜かれているような気がするからだろう。






My Love Song13 Ss-56
「広大な大地やどこまでも続く海。そして、闇夜を照らす星々・・・か。
 レディの探しているものが見つかるように、私も改めて協力するとしよう。」
 
突き放されたかと不安を感じてしまった私の耳に届いたのは、トリヴァーさんの優しい、気遣いに満ちた声だった。






「私のような偏屈じゃないと気付かないこともあるかもしれんからな。任せておけ。
My Love Song13 Ss-57
そして願わくば慈愛の天使にも安息を

トリヴァーさんが何かを祈るように瞼を閉じ、小さな声で呟かれた言葉の意味が分からなくて、思わずじっと見つめてしまった。






My Love Song13 Ss-58
慈愛の天使とは何のことだろう・・・そんなことを考えていると、小屋の横の方から唐突に人の笑い声と子犬の鳴き声が響いてきた。










この島の本島の住民達にお嬢のことを訊いて廻ったがこれといった収穫はなかった。

My Love Song13 Ss-59
「まさか・・・俺を置いて二人だけで他の街に行ってしまったとか言わないよな・・・・・・」
「あり得るかもしれませんね。この島はリゾート地故に毎日人の出入りが激しいですから、人を探し出すのは一苦労ですよ。」

捜索に疲れてグッタリとしている俺に、クロサキの冷たい言葉が突き刺さる。





My Love Song13 Ss-060
港の管理所にも行ってみたが、お嬢達を覚えている者はいなかった。
島の総人口よりも観光客の方が多い島だから致し方ないのかもしれない。

監視カメラ等はドリスの所有するホテル以外には設置されていないらしい。
開放的なリゾート地には、監視カメラはいらないのだそうだ。






「お忍びで滞在する方も居ますので、何かの『証拠』になってしまっても困りますでしょう」
「今のご時世、監視カメラのデータをインターネットで公開するのもいるからな」
My Love Song13 Ss-61
「私はドコゾの先輩と違って誠実に生きていますから関係ありませんが、怖いですね」
「お前のどこが『誠実』なのかは俺にはサッパリ分からないけど、怖いな」

言動に毒が見え隠れするクロサキではあるが、執事としては誠実であり従順ではあるようだ。
なんとなく悔しいが、クロサキの仕事に対する姿勢には俺も敬服している。





「だいたい、お前とドリス「『ドリスさん』」
My Love Song13 Ss-62
 ・・・・・・ドリスさんが、仕組んだことだろうが。って、いちいち指摘するなよ、煩いな」

話の腰を折ってまで、呼称を正そうとするとは・・・主であるドリスへの呼び方には何か拘りでもあるのかコイツ。






「そんな微々たる事に拘っているようなちんけな従者では、あのお嬢様に逃げられても不思議じゃないですね」
My Love Song13 Ss-63
お前が言うな!と、俺は言いたい。
だが、言ったらまた見えない毒の針で抉るように刺してくるのは目に見えているので黙っておく。
俺だって、学習くらいはするんだぞ。






My Love Song13 Ss-64
「そう!俺にはお前ら主従のことよりも、お嬢の行方の方が大事なんだった。
 パラダイス島の本島は大方探した筈だけど・・・・お嬢の気配すらしないのは何でなんだ」






My Love Song13 Ss-65
「気配って・・・犬じゃないんですから人外な発言は止めて下さい。」
「俺は至って真面目に話してるんだからお前の知恵も貸してくれ。」

頼むよ・・・・・・
クロサキに頭を下げて必死で頼み込む。

お嬢のためなら俺は何だってするから
だから・・・・・俺からお嬢を取り上げないでくれ






「ハァ・・・。アンタのそういう、すぐに人を信じて懐を見せるようなところが嫌いなんですよ。
My Love Song13 Ss-66
私がアンタに興味を持っていた頃のままで、腹立つくらいだ。」

苦虫を噛み潰したような顔で言い放っているけれど、
クロサキが天の邪鬼なのも、昔のままだ。

人の本質はちょっとやそっとじゃあ、変わらないものだから。






日が傾いてきた以降も俺はお嬢の行方を捜索したかったのだが、夜の捜索は危険だとクロサキに止められ、
半ば強制的にホテルへと帰ることになった。

My Love Song13 Ss-67
「この島のめぼしい所には居ませんでした。離島にも捜査の手を広げるべきかと」
「そうね。別荘群の持ち主達の素性は知れてても、使用している人物までは把握し切れてないのが現状だから」

今はドリスのオフィスで身のない報告をしているところだ。





My Love Song13 Ss-68
「全く・・・こんな事件が起こると市長としてはこの島の管理体制の詰めの甘さを実感するわ。」

ドリスはそう言うと書類を放り出し、憂鬱そうに溜息をつく。

GPSが使えない以上、地道に捜索するしかない現状だ。
明日以降は、本島の周りに点在する離島の別荘群にも捜索に向かうことになった。






「ごめんね、坊ちゃん」
「はぁ?アンタが謝る事じゃねぇさ。俺が迂闊だっただけだからな。
My Love Song13 Ss-69
それに、アンタが自分の島の住民達に権力を振りかざして強要しないヤツだってのは、わかってる」

ドリスが自分の統括する島に住む、民達への愛は伝わってくるから。
だからこそ、『協力しろ』なんて無理は言えない。






My Love Song13 Ss-70
「フフ。ガキがいっぱしのことを言ってくれるじゃない?そう言う素直なところも好みだわ。オモチャにしたくなる」

急に、寒気を感じた気がするのは俺だけだろうか?





My Love Song13 Ss-71
「何言ってるんだ、アンタ。俺、心の中でアンタのことをちょっと尊敬していたんだけど、気のせいかよ」
「プリプリ怒る元気があるって事は・・・今夜も付き合ってもらっちゃう?」





My Love Song13 Ss-72
「・・・ッ!!全力でお断りだ!」

だからこの女には近寄るなって言ってんだろうが、俺の馬鹿野郎!!
クロサキも気を遣うように退出してんじゃねえってのっ!

俺は立ち上がった勢いのまま応接セットから離れ、ドリスの執務室を後にした。





My Love Song13 Ss-73
「フフ、可愛いわぁ。オモチャはこうでなくては、ね。」

魔女の様なこの女は、薄ら寒い企み顔で俺達の背中を見送っていた。

一度、ドリスの仕掛けた罠にはまった俺は・・・もう彼女の手中から逃れることは出来ないのだろうか・・・・・・
いやいやいやいや、早くお嬢を探し出してサッサとこんな島を後にするんだ、俺は!

と、改めて決意した俺だった。








【後書き的な何か】でございます。

お疲れさまです。いつもありがとうございます。 _(._.)_
今回は題名の通り、『邂逅』するお話となりました。
遂に(?)トキメキ系ストーリーの王道を導入してしまいましたよー(笑)
これで、ジョニィとトリヴァー氏は同じ位置に立てたのでしょうか?いや、訊くなって、やつですよね。スミマセンw(爆)

それはそうと、お嬢をいたぶるのが楽しくってしょうがないので管理人はドSだt(←自重しますw

ストーリーの概要にも書いてあるかもしれませんが一応の補足を少々。
当ストーリーに登場するスコット トリヴァーは 『セイラン』という芸術家の縁者設定となっております。
上記は当ブログにおけるオリジナル設定ですので、『セイラン様』の元ネタである『アンジェリーク』と言うゲームは
あまり関係ございません。
セイラン様の名前と、守護聖であるという設定だけをチョロッと臭わせていますが、登場予定はもちろんございませんので
ご了承下さい。
トリヴァーを芸術家設定にする際に、『セイラン様似のド偏屈』という肩書きが欲しかっただけでしたー☆←


ではでは!閲覧、ありがとうございました!



テーマ:The Sims3 - ジャンル:ゲーム

  1. 2014/10/30(木) 08:31:29|
  2. My Love Song
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